ドクササコの中毒事例

ドクササコ

ドクササコとは

キシメジ科カヤタケ属のきのこ。学名Clitocybe acromelalga。

毒成分:アクロメリン酸類、クリチジン,スチゾロビン酸,スチゾロビニン酸,異常アミノ酸など 

早ければ食後6時間、遅ければ1週間ほどで手足の先端が赤く腫れ、激痛を伴う症状が1か月以上続きます。

毒成分は水溶性と考えられ、摂食方法により症状が異なることもあります。(汁を飲まなかった場合は軽症だった例あり)

成人の場合、毒成分が直接的に死亡原因となることは稀ですが、疼痛に耐えきれずに自殺してしまう人・衰弱死してしまう人もいたようです。

治療方法について

現在、確実に症状を軽減する有効は治療法は確立されていません。

症状に対し、治療を行う対症療法を行うことになります。

しかし、ドクササコ中毒者の主な症状である、身体抹消部の激しい疼痛に対してはモルヒネ等の麻薬系鎮痛薬でもあまり効果が見られないそうです。

現在では局所麻酔による硬膜外神経ブロックが有効な鎮痛方法とされているようです。

症例報告の中には血液透析を行った結果、症状が改善したというものもあれば、血液透析が有効でないとしているものもあります。

もし仮にドクササコを誤食してしまった場合、硬膜外神経ブロックを適宜行なってもらいながら症状の寛解を待つしか無さそうですね。もしくは、血液透析を行い、痛みが軽減するまで待つか・・・。

ドクササコの毒成分で死に至ることはありませんが、その分痛みに耐えなければなりません。

絶対に間違えたくないキノコの一つです。

似ている可食キノコ

ドクササコは味も匂いも優しく、これ!といった特徴も薄いため、食用キノコと間違われやすいです。

チチタケ

美味しい出汁が出るキノコ。傷をつけると白い乳液が出ることが特徴です。

ナラタケ

色々な地域でよく見られるキノコ。ツバがない種類のナラタケもあります。(ナラタケモドキ)

ドクササコの中毒件数

ドクササコ
/ 年度発生件数摂食者総数患者数死者数
20151210
20140000
20130000
20121220
20111110
20102320
20090000
200831240
20071210
20061430
20052530
20043970
200341770
20024860
20010000
20001210
厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:ドクササコ(Clitocybe acromelalga) キシメジ科カヤタケ属』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142713.html)

2000-2015年までで合計24件、2015年-2022年まででは合計7件発生しています。

行政の方々や、きのこのプロの方が毎年啓発運動を行なってくれているおかげで、年々中毒件数は減っていますね。ありがとうございます。

参考元:厚生労働省, 『令和4年食中毒発生状況(概要版)』URL(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001075642.pdf )

実際の中毒事例

事例①

発症年月日:2016年11月上旬

発生地域:新潟県上越市

発生規模:喫食者数2名(両名とも80代)

発症者数:2名(内1名入院)

死亡者数:0名

症状:手足のしびれ

経過:11月上旬、80代2名は自宅の敷地に生えていたキノコをナラタケを思って採取し、味噌汁にして喫食。2人とも、手足にしびれの症状が出現した。うち1名は11月25日から入院しているが、快方に向かっている。保健所職員が、患者に図鑑を見せて確認したところ、ドクササコであるとのことであった。症状も一致することから、ドクササコによる食中毒であると断定した。

参考元:上越市在住タウン情報, 『上越市在住の80代2人 毒キノコで食中毒』, 最終更新日2016年11月29日 18:58, URL(https://www.joetsu.ne.jp/2728)

事例②

発症年月日:不明

発生地域:奈良県

発生規模:喫食者数1名(57歳、男性)

発症者数:1名

死亡者数:0名

症状:摂取4日後に両手指の痺れを自覚し,5日後に疼痛も出現。

経過:自生のキノコを採取し、バター炒めにして喫食。翌日も同様に喫食。初回摂取4日後に両手指のしびれが出現、5日後に疼痛も出現したため、近医受診したが経過観察となった。初回摂取6日後には疼痛が増強したため、他院を受診し入院となった。患者本人もキノコ中毒を疑っており、キノコを持参。保健所の鑑定により、ドクササコ中毒と判明した。入院後は、四肢末端の疼痛増悪があったが、血液浄化法により症状が改善。入院5日目に退院となった。

参考元:中毒研究 28:247-248,2015, 『血液吸着療法を行ったドクササコ中毒の 1 例』, URL(http://jsct-web.umin.jp/wp/wp-content/uploads/2017/03/28_3_247.pdf)

事例③

発症年月日:不明

発生地域:不明

発生規模:不明

発症者数:1名(78歳、男性)

死亡者数:0名

症状:手足に疼痛、四肢末端に紅斑腫脹と激しい接触痛

経過:11月初旬から手足に疼痛が出現、徐々に増悪し医療機関を受診した。受診時には四肢末端に紅斑腫脹と激しい接触痛を訴えており、食事や自力での歩行が困難であった。男性を問診すると、症状出現の数日前にドクササコを摂取したことが判明した。症状は1ヶ月で軽快した。

参考元:渡部絢子他, 『ドクササコ摂取による肢端紅痛症の1例』, 臨床皮膚科 73巻11号pp.857-862, 2019年10月発行.

ドクササコ中毒と疑われるもの

古くからドクササコによる中毒ではないかと言われている事例もありますが、「原因不明」とされています。

  • 1890(明治23)年10月に福島県信夫郡平野村(現在の飯坂町平野)において、11歳から48歳までの男女5人が患者となった。
  • 1899(明治32)年に、新潟県頚城郡において7名が発症した。
  • 石川県鹿島郡の龍尾村においても、四肢の末端が赤く腫れ上がる症状がでる者が毎年のように発生し、死亡者も出ていた事例がある。

参考元:ドクササコ, 『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』, 最終更新日時2024年6月25日 (火) 02:18, URL(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%B5%E3%82%B3)

まとめ

昔からドクササコと疑われる中毒症状はあったようですが、症状が出てもキノコ中毒によるものだと疑われることはあまり無かったようです。ドクササコがあまり毒キノコの特徴(異臭や苦味、派手な見た目など)が無かったためだと思われます。

現代では化学が発展し、毒成分や症状、治療方法が徐々に明らかになってきていますが、ドクササコに関しては治療方法がまだ不確立な部分があります。

野生のキノコを採取、喫食する際には十分に気をつけていきたいですね。

知らないキノコは採らない、食べない、人にあげないを徹底していきましょう。