クサウラベニタケの中毒事例

クサウラベニタケの中毒事例

クサウラベニタケとは

ハラタケ目イッポンシメジ科イッポンシメジ属イッポンシメジ亜属のキノコ。学名Entoloma rhodopolium。(従来の学名)

2019年の研究で、従来「クサウラベニタケ」と呼ばれていたキノコは、実際には3種類の異なるキノコの総称であることが判明しました。

クサウラベニタケは多様な形態を持つと言われてきましたが、実はそれぞれが別の種である可能性があります。

今後の研究でさらに細分化されていきそうですね。

この記事では、広義でのクサウラベニタケについてお話していこうと思います。

参考元:近藤一成他, 『有毒クサウラベニタケ近縁種のリアルタイム PCR法による同定』, 食衛誌 Vol. 60, No. 5 P144-150, 2019/10, URL(https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010930237.pdf)

毒成分:溶血性タンパク、コリン・ムスカリン・ムスカリジン

食後30分くらいから嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸系の中毒を起こします。

ムスカリンが含まれているため、発汗などの神経系の症状も出現します。重症化すると稀ですが死亡する事例もあります。

治療方法について

キノコ食中毒の基本的処置として、催吐・胃洗浄、下剤の投与を行うとともに、対症療法を行います。

必要な場合には補液を行なっていきます。

似ている可食キノコ

クサウラベニタケは華奢な印象。また、柄は中空と言われています。しかし前述した通り、クサウラベニタケは様々な形態を成しています。

中空では無い個体や、軸がしっかりしている個体も発見されています。そうなると判別がなかなか大変・・・。

『名人泣かせ』と言われている毒キノコです。

ウラベニホテイシメジ

クサウラベニタケに比べて大型で、全体的にしっかりしています。傘に指で押したようなシミがあります。

かじると苦味があります。

クサウラベニタケの中毒件数

クサウラベニタケ
/ 年度発生件数摂食者総数患者数死者数
2015620200
20140000
20130000
2012721180
20111220
20101795590
2009213110
2008625220
2007726250
2006615150
2005517130
20041642410
2003471480
2002825240
20012880
200031080
引用元:厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:(クサウラベニタケEntoloma rhodopolium ),イッポンシメジ科イッポンシメジ属』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142692.html )

クサウラベニタケは、ツキヨタケに次いで2番目に中毒事例の多い毒キノコとなっています。

お店でも食用キノコとして売られていたことが度々あり、それが原因で集団食中毒となっていることがあります。

発生件数に対し接触者総数が多い年は、おそらくそういった理由があると思われます。

参考元:厚生労働省, 『令和4年食中毒発生状況(概要版)』URL(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001075642.pdf )

クサウラベニタケの味は?

味は温和ですが、わずかに小麦粉のような粉臭・ガス臭があります。

味はあまり特徴がないようなので、間違えて採取・摂取してしまった場合は中毒症状が出るまで気がつかなそうですね。

実際の中毒事例

事例①

昭和60年9月16日、長野県王滝村にて発生。

建設作業員の男性7名(37~53歳)が、現場付近の山で採取したキノコをキノコ汁にして喫食。その後、5分から1時間の潜伏期間後に全員が嘔吐や下痢の食中毒症状を呈し、近くの医療機関に収容された。入院後は胃洗浄や補液など、医師の処置を受けた。重症だった4名は入院したが、翌日には全員が回復し退院している。

参考元:食衛誌, 『クサウラベニタケによる食中毒』, Vol. 27, No. 5 P600, URL(https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/27/5/27_5_600/_pdf)

事例②

平成元年10月10日、北海道札幌市にて発生。

札幌市のデパート前の歩道上で販売されていたキノコをバター炒め、味噌汁、混ぜご飯とし調理し、喫食した。患者は6家族13名。嘔吐、下痢などの症状が出現し、病院を受診した。残ったキノコを鑑定したところ、クサウラベニタケであることが判明した。

参考元:江口裕, 『路上販売キノコによる食中毒』, 食品衛生学雑誌, 1990 年 31 巻 5 号 p. 437, URL(https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/31/5/31_5_437/_article/-char/ja/)

その他の事例

平成元年 (1989 年 ) 大阪府交野市の夫婦が幼菌のクサウラベニタケをハタケシメジと間違えて採った。翌朝、傘径約 3cm の幼菌 2 本を豆腐と一緒に澄まし汁にいれ、夫が 1 本の 4 分の 1 、妻が 4 分の 3 を摂食。大変美味しかったので、残り 1 本は昼食用に残した。妻は摂食 4 時間後、胸のむかつき、腹痛、下痢を発症、水を飲み何度も吐き出した。昼ごろには、手のひらが軽く痺れ、頭がボーっとし、目を閉じても赤いきのこが見える感じがしたが、夕方には落ち着いた。その後 6 日間、市販の胃腸薬を服用。夫も下痢をしたが、夕方には回復している。

正規の流通経路に乗り、販売されていたきのこを購入した飲食店が、客にクサウラベニタケと知らずに調理したところ、 14 人が発症した。毒キノコ摂食後 1 時間以内に全員が頻回の嘔気、嘔吐、激しい下痢などの消化器症状を発症。発熱、自律神経症状はなく、白血球の軽度増加意外に異常を認めなかった。補液、止痢剤などの対症療法により、翌日には症状軽快、治癒となった。

平成 19 年 10 月 21 日に,松本市で開催された「市場まつり」で購入したキノコを摂取した6名全員が、嘔吐、下痢の症状を示した。

平成 16 年 10 月 17 日,八王子市高尾山で採取した 3 種類のキノコのうち,ホンシメジと自身で判断したものを炒め物にして 3 名で摂取したところ, 30 分後から全員が嘔吐,下痢の症状 示し,入院した.

平成 21 年 9 月 15 日に,山形県尾花沢市内の山中で採取したキノコを、 17 日の夕方6~7時頃にキノコ汁にして摂取したところ、午後8時頃から嘔吐,下痢の激しい中毒症状を示した。

引用元:厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:クサウラベニタケ(Entoloma rhodopolium ) イッポンシメジ科イッポンシメジ属』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142692.html)

まとめ

クサウラベニタケはキノコ採集に慣れた人でも誤認しやすい毒キノコです。

初心者よりも中級者の方が中毒しやすいのも、このキノコです。

個体差が大きいため、図鑑だけでの判別は非常に難しいです。

可能ならば、その地域の経験豊富な方に教えてもらうのが良いでしょう。

また、最近では「キノコ狩りツアー」を提供する施設も増えており、参加することで野生のキノコに関する知識を高められます。

みんなで安全にキノコ狩りを楽しんでいきましょう。