ツキヨタケの中毒事例

ツキヨタケの中毒事例

ツキヨタケとは

ハラタケ目ホウライタケ科ツキヨタケ属のキノコ。学名Omphalotus japonicus。

毒成分:イルジンS,イルジンM,ネオイルジン

食後30分~1時間程で嘔吐,下痢,腹痛などの消化器系の中毒症状が現れます。

幻覚症状の報告もあります。少数の死亡例もありますが、これは重篤な嘔吐や下痢による脱水からの二次的なものと考えられています。

治療方法について

毒物除去の目的で胃洗浄や催吐が初期治療として行われます。また、嘔吐や下痢により脱水傾向にあるので、補液も行われます。症状が重篤な場合は、血液浄化法も有効なようです。

似ている可食キノコ

ツキヨタケは暗闇で発光する性質を持っています。

しかしこの発光も極わずかなため、肉眼で捉えることは難しいです。

発光するツキヨタケ。 2022年9月撮影。

ムキタケ

晩秋に出てくるキノコ。ツルンとした食感で美味しいです。

ヒラタケ

通年自生していますが、晩秋に最も多く見かけます。

シイタケ

古いシイタケの原木にはツキヨタケが生えてしまうことも。ツキヨタケの幼菌をシイタケと思って、誤食してしまうケースが多いようです。

ツキヨタケの中毒件数

ツキヨタケ
/ 年度発生件数摂食者総数患者数死者数
20151136320
20141466620
20131146430
20122385740
20111346490
20101864620
20091967610
20081978700
20071563590
20061765610
20051570630
20041653520
20031139360
200219110910
2001345450
20001361670
厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:
ツキヨタケOmphalotus guepiniformis(キシメジ科ツキヨタ属)』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142114.html)

参考元:厚生労働省, 『令和4年食中毒発生状況(概要版)』URL(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001075642.pdf )

ツキヨタケの中毒発生件数は、日本におけるきのこ中毒の中で最も多いです。

それだけ身近で食べられており、なおかつ間違われやすいキノコということですね。

可食キノコのヒラタケやムキタケと同じ木に混生しているという点も、中毒件数が多い原因となっています。

ツキヨタケの味は?

毒キノコは苦味があるものも多いです。もし、食べた瞬間に苦味を感じれば、すぐに吐き出し中毒を避けることが出来るかもしれません。

実際にツキヨタケの味はどうなのでしょうか?

調べてみたところ・・・

『不快な味や匂いは無い』としている記事もあれば『苦味がある』と記載しているものもあります。

きのこの味に関しては個体差や地域差がある場合もあります。一概に『このような味』と定義するのは難しいようです。

やはり、食べる前に各キノコの特徴を認識し、しっかりと判別することが必要です。

実際の中毒事例

事例①

2015年9月15日、長野県にて発生。

ある住民がキノコを採取し、夕食に近所の住人6人でバター焼きにして喫食。食事開始1時間から1時間30分で嘔気、嘔吐が出現したため救急要請し、医療機関を受診した。救急隊が持参した調理前のキノコを確認すると、ツキヨタケである可能性が示唆された。嘔気が続いていたため、経過観察目的で6名全員入院となったが、翌日に全員退院している。そのうち2名が食欲不振や嘔吐、下血のため再入院となっているが、入院7−8日後に退院となっている。

参考元:小林史岳他, 『ツキヨタケ中毒の 6 例』, 日農日誌 66巻 4 号 499~503頁 2017.11, URL(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/66/4/66_499/_pdf)

事例②

2023年10月23日 19時頃、群馬県にて発生。

職場で同僚が配っていたキノコを自宅に持ち帰って、炒めものやほうとうにして家族6人で喫食。食後に嘔吐や下痢を起こし、医療機関を受診した。そのうち1人が入院となっているが、その後は退院したものと思われる。残っていたキノコを鑑別したところ、ツキヨタケと判明した。

参考元:上毛新聞, 『職場でもらったキノコで6人食中毒 ツキヨタケか 群馬・太田市』, 公開日2023年10月25日, URL(https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/364865#:~:text=%E7%BE%A4%E9%A6%AC%E7%9C%8C%E3%81%AF24%E6%97%A5,1%E4%BA%BA%E3%81%8C%E5%85%A5%E9%99%A2%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82)

事例③

2023年10月26日 鳥取県にて発生。

山林でヒラタケと思い採取したキノコを家庭内でお吸い物に調理し、家族2人で喫食した。その後、2名とも嘔吐の症状が出現し、医療機関を受診した。2人とも快方に向かっている。

参考元:鳥取市, 『鳥取市保健所管内で発生したツキヨタケによる食中毒』, URL(https://www.city.tottori.lg.jp/www/houdou/contents/1698383363905/index.html)

事例④

1989年10月19日 宮城県にて発生。

惣菜店の店主が、県内でシイタケと思いキノコを採取。弁当の中にひじきと煮付けにして19個販売した。摂食したものは12名、うち全員が2-2時間30分の間に悪寒や激しい嘔吐を頻回に繰り返した。12名の中には生後11ヶ月の乳児もいた。3家族6名は中毒症状が激しいため病院で治療を受けた。

厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:
ツキヨタケOmphalotus guepiniformis(キシメジ科ツキヨタ属)』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142114.html)

事例⑤

2021年9月29日 群馬県にて発生。

男女3名のグループがキャンプ場にて、キノコを採取。キャンプ場で調理したおでんにキノコを入れ、喫食した。1人はキノコ自体をかじってすぐに吐き出し、2人はほかの具材と食べただけとの話だが、まもなく嘔吐や寒気の症状が現れたため、救急車にて医療機関に搬送された。2人は一時入院したが、快方に向かっている。

残ったキノコを鑑定したところ、ツキヨタケと判明した。3人はシイタケと思って採取した、と話している。

参考元:中島健, 『「ツキヨタケ」食べ、キャンプの3人中毒』, 朝日新聞, 2021年10月1日 9時30分, URL(https://www.asahi.com/articles/ASP9Z6VMWP9ZTPJB00V.html)

まとめ

紹介した中毒事例はほんの一部です。ツキヨタケの中毒件数はきのこ中毒の中で最も多いです。

また、ツキヨタケの毒成分は水溶性・脂溶性があるため、一緒に調理した汁や他の具材を食べても中毒症状が出現することがあります。

毎年きのこシーズンになるとツキヨタケの中毒がニュースになります。

野生のキノコは環境や個体差により、図鑑の知識を使用しても判別が難しい場合もあります。

自信がないキノコは取らない、食べない、人にあげないが大原則です。

中毒しても、死亡することは稀ですが下痢・嘔吐が続くと命の危険に繋がる可能性があります。何より何回も下痢・嘔吐が続くのは、とてつもなく身体が辛いことでしょう。

十分に注意して、きのこシーズンを楽しんでいきましょう。

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