ドクツルタケの中毒事例

ドクツルタケの中毒事例

ドクツルタケとは

テングタケ科テングタケ属のキノコ。学名Amanita virosa。

別名『死の天使』。日本毒キノコ御三家の一角。

毒成分:アマトキシン類、ファロトキシン類

1本のキノコに成人の致死量の毒成分が入っています。

食後6~24時間後にコレラ様の症状(おう吐、下痢、腹痛)が現れます。これらの症状は1日でおさまりますが、その後24~72時間で内臓の細胞が破壊され肝臓肥大,黄疸,胃腸の出血などの肝臓,腎臓機能障害の症状が現れ,死亡する場合があります。

運良く助かっても、後遺症が残る可能性があります。

『死の天使』と欧米圏では呼ばれ、恐れられています。

絶対に誤食してはいけないキノコのうちの一つです。

治療方法について

催吐,胃洗浄,活性炭投与など、症状に応じた処置が必要になります。

上記で改善しない場合には血液透析による毒物除去も必要になってきます。

多臓器不全の状態にまで陥ってしまうと、種々の薬剤での治療や肝移植が選択肢として上がってきます。

参考元:株式会社三菱総合研究所, 『ハザード概要シート(案)(ドクツルタケ)』, URL(https://www.fsc.go.jp/sonota/hazard/kinoko_7.pdf)

似ている可食キノコ

このような見た目のキノコは猛毒のものも多いので、確実に判別できる方以外は食べない方が良いでしょう。

シロマツタケモドキ

マツタケの香りがするそうな・・?

ハラタケ

欧米圏ではよく見られる食用キノコです。日本でも見られます。

ツクリタケ

スーパーでよく売られている『マッシュルーム』です。白い傘の形がよく似ていますね。

ドクツルタケの中毒件数

 ドクツルタケ
/ 年 発生件数摂食者総数患者数死者数
20151110
20140000
20130000
20120000
20110000
20100000
20090000
20081310
20070000
20060000
20051221
20041111
20033771
20021不明10
20010000
20001440
引用元:厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:ドクツルタケ(Amanita virosa) テングタケ科テングタケ属』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142727.html)

『日本毒キノコ御三家』の一角を担っているドクツルタケ。もっと中毒件数は少ないかと思いきや、しっかり数年に1回の割合で食中毒が発生していました。

しかし、2009年以降は件数が見るからに減っていますね。この毒キノコの存在が周知されている証拠だと思います。

死者数は17人中3人。死亡率は17.6%です。

ドクツルタケの味は?

無味無臭だそうです。食べても気がつきません。

採取しないよう、気を付けるしか無いですね。

実際の中毒事例

事例① 平成5年 愛知県にて発生。3名中毒し内2名が死亡。

平成 5 年( 1993 ) 8 月 6 日 名古屋市千種区で発生。

名古屋市の東山植物園で名古屋大学中国人留学生一家 3 人 ( 夫 35 歳、妻 33 歳、長男 4 歳 ) が白いきのこを採集し、スープや炊き込みご飯にして摂食。摂食 6 時間後(午前 0 時)より吐き気、下痢などの中毒症状が発症したので市内の病院に運ばれた。夫は、「毒キノコを食べた」と訴えたにもかかわらず、病院は胃洗浄や血液透析などによる毒物の除去をせず、設備の整った別の病院へ転送する措置を取らなかったため、 58 時間後( 9 日午前 5 時ごろ)長男が死亡した。夫婦は名古屋大学付属病院に転院したが、妻も死亡、夫だけが助かった。同市衛生局は 13 日、留学生宅の食べ残しの検査結果などから、採集したドクツルタケかシロタマゴテングタケのどちらかを摂食したという見方を明らかにした。

厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:ドクツルタケ(Amanita virosa) テングタケ科テングタケ属』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142727.html).

事例② 平成12年 2人中毒。

平成 12 年( 2002 ) 10 月 22 日 に発生。

大阪府と奈良県境、信貴生駒スカイラインの駐車場近くの林に発生していたきのこを男性( 51 歳)が袋いっぱいに採り、夕食に茹でこぼして、醤油をかけて調理。家族( 3 人)のうち、妻を除いた男性と子供(女子 7 歳) 2 人が摂食。摂食 12 時間後、子供が吐き気や腹痛、下痢などを発症、病院で治療を受けた。一旦帰宅後、 27 日に再び意識レベルが低下し、同病院に入院。男性も摂食 4 日後( 27 日)、同病院で血液検査結果、肝機能が悪化していたため入院した。子供が発症した初診時「きのこを食べた」と話しておらず、医師はきのこ中毒と気付かなかったという。その後 2 人とも症状は軽快し退院した。

厚生労働省, 『自然毒のリスクプロファイル:ドクツルタケ(Amanita virosa) テングタケ科テングタケ属』, URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142727.html).

事例③ 2003年 兵庫県にて発生。2名中毒。

2003年11月3日、三田市在住の夫婦(夫60歳、妻58歳)が、知人からもらった白いキノコを湯がき、翌朝サラダにして、喫食。5日朝から激しい下痢・嘔吐の症状を示した。近くの医療機関で受診した後、同日、神戸市中央市民病院に搬送された。患者は、入院時、意識清明で肝機能検査の結果も正常範囲内であったが、致死量を超える中毒物質を摂取しているおそれがあったため、大量輸液、下剤・活性炭の頻回投与、吸着式血液浄化法、ペニシリンGとビタミンCの大量投与などの処置を受け、夫は11日目に、妻は15日目に退院した。

神戸市環境保健研究所, 『No.1138 ドクツルタケによる食中毒』, 最終更新日2016/05/27, URL(https://www.niph.go.jp/h-crisis/archives/83892/)

事例④ 昭和63年9月に発生。3名中毒し、うち1名死亡。

昭和63年9月19日 岐阜県吉城郡上宝村にて発生。

9/18、上宝村内の建設作業員3名(A,B,C)が、作業現場からの帰宅途中に林道に生えていた白色のキノコを発見した。Aが「このキノコは去年も食べたことがある。」と言い、各自2−6本採取し、自宅に持って帰った。

AとAの妻は、このキノコを18日の夕食と19日の朝食に、2本ずつフライパンで焼いて喫食。それぞれ1本ずつ食べた。Aは19日午前8時頃、Aの妻は午前10位頃に、それぞれ激しい下痢・腹痛・嘔吐の症状があり、両名とも医療機関を受診し、入院した。Aの妻は肝機能障害・腎機能障害が強く、病状が思わしく無いため隣県の大学病院に転院したが、24日に肝不全および腎不全にて死亡した。Aは肝障害により一時重篤な症状に陥ったが、約1ヶ月の入院期間を経て退院した。

Bは18日の夕食に1本の茎の部分だけを網焼きにして食べた。翌朝、下痢・嘔吐・腹痛の症状があったが、摂取量が少なかったため軽症であった。

Cはキノコを一旦自宅に持ち帰ったが、いたみがひどかったため食べずに捨てた。

10/7に既に回復していたBが同行して、保健所職員とともにキノコを採取した場所へ行った。同一r種類のキノコを採取し、ドクツルタケと推定された。

参考元:食衛誌, 『ドクツルタケによる食中毒』, Vol. 30 No.5, P468-470, URL(https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/30/5/30_5_468/_pdf).

まとめ

猛毒の成分を持つドクツルタケ。

キノコ狩りをしていると、結構な確率で林の中で見かけます。

ですが、最近では『白いキノコは毒キノコが多いから食べない方が良い』という話をチラホラと聞くようになっており、私もドクツルタケとその他の白いキノコは判別が出来ないため、喫食のための採取は行っていません。

確実に判別ができる方以外は、白いキノコは手を出さない方が良いでしょう。

キノコ狩りの大原則、『知らないキノコは摂らない、食べない、人にあげない』を徹底し、注意しながらキノコ狩りを楽しんでいきましょう。

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