ニガクリタケの中毒事例

ニガクリタケの中毒事例

 

 

目次

 

ニガクリタケとは

モエギタケ科のキノコ。学名Hypholoma fasciculare。

 

毒成分

カルモジュリン阻害活性を持つファシキュロ-ル,ファシキュリン酸の他,ムスカリン類
発症時間:食後1〜2時間以内

ニガクリタケには胃腸系に強い毒が含まれており、食べると激しい嘔吐、下痢、腹痛を引き起こします。
重症化すると脱水症状を引き起こし、国内での死亡例もあるため、特に子供や高齢者の場合は注意が必要です。

 

 

ニガクリタケはどんな味?

名前にある通り、通常は強い苦味が特徴ですが、調理や調味料によってその苦味が隠れてしまうことがあり、誤食されることが多いです。

 

 

ニガクリタケに似ている可食キノコ

クリタケ

晩秋に出てくる食用キノコの一つです。
栗の木に生えやすいこと、傘の色が栗の実に似ているところから名付けられました。
色はニガクリタケよりも茶色味が強く、傘表面と柄に白いササクレがあることが特徴です。
このササクレは成長するとともに消失していきます。

ナラタケ

紅葉樹の朽木や倒木に生えるキノコです。
傘の表面にツブツブしたササクレがあること、柄を折ると『ポキッ』とした音が鳴ることが特徴です。
柄のツバはあるものと無いものがあります。
ナラタケは細分化するとたくさんの種類があるので、傘が黄色い『キツブナラタケ』やツバの無い『ナラタケモドキ』などはニガクリタケと間違えやすいかもしれません。

 

実際の中毒事例

事例① 新潟県での食中毒事例(2013年)

新潟県で2013年に発生した事例では、ニガクリタケを食用の「クリタケ」と誤認して食べた家族が、食中毒を起こしました。

  • 状況: 家族が山でキノコ狩りを行い、「クリタケ」と思われるきのこを採取して調理。家族全員で食べたが、食後しばらくして強い吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が発生。
  • 症状: 食後1~2時間で、家族全員が強い胃腸症状(嘔吐、下痢、腹痛)を訴えました。特に小さな子供が重症となり、病院に搬送されましたが、幸い命に別状はありませんでした。
  • 原因: 調査の結果、誤って「ニガクリタケ」を食べたことが原因であることが判明しました。

 

事例② 北海道での事例(2019年)

北海道でも2019年にニガクリタケを食べたことによる食中毒が報告されています。

  • 状況: ある家庭で、山菜狩りの際に採取したきのこを食用と誤認して調理。
  • 症状: 2時間以内に家族全員に激しい嘔吐と腹痛が発生。特に高齢の家族が重症となり、入院治療を受けることになりました。
  • 原因: 「クリタケ」と思われたきのこが、実際には「ニガクリタケ」であることが確認されました。ニガクリタケの特徴的な苦味が調理で分からなくなり、誤って食べられてしまったことが原因とされています。

 

事例③ 秋田県での事例(2016年)

秋田県でも、ニガクリタケを原因とする食中毒が発生しています。

  • 状況: キノコ狩りの際にクリタケと思って採取したきのこを鍋料理に使用。参加した家族や友人が食後に体調不良を訴えました。
  • 症状: 全員が食後数時間以内に嘔吐、下痢、腹痛に襲われ、一部の人が病院での治療を受けました。病院で点滴や薬による処置が行われ、全員が回復しました。
  • 原因: 食用と信じていたクリタケが、実際には毒性の強いニガクリタケだったことが判明しました。

 

青森県三沢市での事例(1984年)

  • 発生日時: 昭和59年9月25日
  • 場所: 青森県三沢市(家庭)
  • 状況: 夫が近隣の山林から採取してきたきのこを「シメジ」と誤認し、すき焼き風に調理して夕食に使用。夫婦で食事をした約30分後に、発汗、悪寒、嘔吐、下痢、けいれんなどの症状が現れた。夫婦は救急車で病院に搬送された。
  • 症状: 夫は食後数時間以内に重篤な症状が進行し、翌日午前4時35分に死亡。妻は回復に向かった。
  • 原因: 残存していたきのこを確認した結果、毒性のある「ニガクリタケ」と判明。苦味があったことからも有毒きのこであることが確認された。

参考元: 日本食品衛生学会 (1985). 青森県三沢市でのニガクリタケ食中毒事例. 食品衛生学雑誌, 26(5), 550-551. https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/26/5/26_5_550/_pdf

まとめ

ニガクリタケは毒性が強く、死亡例も複数あります。
強い苦味が特徴なので、食べてすぐ誤食に気が付くかと思いきや、すき焼きや佃煮などの味の濃い料理に使用してしまうと、苦味を感じづらく誤食に気が付かないようです。

採取の際に同定を心がけるのはもちろん、食べる際にも違和感を感じたらすぐに吐き出すなどの対策も必要ですね。
またキノコ採取初心者のうちは味付けの濃い料理に使わない、というのも自衛の一つとして有効かもしれません。

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